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「85になる父の安全が脅かされる事態」 無免許運転で在宅起訴された木下富美子都議が辞表を提出~「遵法精神が弛緩していたことを猛省」。小池都知事から「一旦退いて、交通事故の解決に専念されたらどうか」と助言

[2021/11/22 23:32]

 無免許運転を繰り返したとして道路交通法違反で在宅起訴された木下富美子東京都議が公式サイトを2021年11月22日(火)に更新。同日に、東京都議会議長に対して、辞表を提出したことを報告しています。小池都知事と直接話し、支援者とも相談して決断したとのことです。

 「交通法規に対する遵法精神が弛緩していたことについて、猛省いたしております」として、2度と過ちを繰り返さないために、「取り消し処分となりました免許の再取得はせず、自ら運転をいたしません。事故当時に運転していた車は既に処分しております」とのことです。

 出席できなかった間の議員報酬については、「公職選挙法上、報酬の受取拒否ができないので、報酬については寄附をし、政務活動費については請求しておりませんことを、改めて申し上げます。決して、報酬欲しさに議員継続を望んできたわけではありません」と説明しています。

 今回、辞職を決断にしたことについては、「私が『刑事訴追の可能性』との間で、充分な『説明責任』を果たせなかったために、大切な両親、齢85になる父の安全が脅かされる事態となりました。これ以上家族を巻き込むことはできない。これも、辞職の決断に至る理由となった」としています。

 また、「仕事がしたくて議員継続を望んでいるにも関わらず、『仕事をさせてもらえない』という現実が、先日の委員会開会拒否で明らかになりました。議員として十分に仕事させてもらえない『理不尽な現実』に悩みました」と明かし、そんな中で、小池都知事から「ここは一旦退いて、今回の交通事故の解決に専念されたらどうか。これで人生が終わるわけではなく、今回の不祥事を反省し、再出発するときには相談に乗る」と助言されたことも踏まえ、「深く深く考え、今回、都議会議員の職を辞する決断をするに至りました」と説明しています。

【全文】都民の皆様へ

私、木下ふみこは、本日、東京都議会議長に対して、辞表を提出致しました。小池都知事と直接お話をし、支援者の方々ともご相談して、都議会議員を辞職することを決断致しましたので、ご報告申し上げます。
免許停止期間中に車を運転することは、都議会議員であろうとなかろうと、許されることではありません。にもかかわらず、今年7月、免許停止期間中に車を運転し、交通事故を起こしてしまいました。
皆様方から、「到底許せない」「規範意識が乏しい」「議員の資質に欠ける」等の非難を受けており、当然のことと思います。交通法規に対する遵法精神が弛緩していたことについて、猛省いたしております。
2度と過ちを繰り返さないために、既にお話ししておりますが、取り消し処分となりました免許の再取得はせず、自ら運転をいたしません。事故当時に運転していた車は既に処分しております。
事故でお怪我をされた方には、改めまして、お見舞いとお詫びを申し上げますとともに、10月半ばに示談に応じて頂き、民事的解決に応じて頂きましたこと、感謝申し上げます。
刑事については、弁護士さんにすべて委任しておりますので、事件の詳細について現時点でお話しできることについては、後ほど弁護士さんからお話して頂きます。今後下されます司直の判断に従い、罪を償って参ります。
これは、全て私の責任です。都民の皆様、有権者の皆様に心よりお詫びを申し上げます。本当に申し訳ございませんでした。

出席できなかった間の議員報酬について、申し上げます。
私は、議会に出席していなかった間の議員報酬は受け取るべきではないとの考えを表明し、実行しています。公職選挙法上、報酬の受取拒否ができないので、報酬については寄附をし、政務活動費については請求しておりませんことを、改めて申し上げます。決して、報酬欲しさに議員継続を望んできたわけではありません。

都議として尽力したいと考えてきた仕事について、申し上げます。
政治を志したきっかけは、2012年4月から2年間、内閣府男女共同参画局で働いたことです。女性のための政策を担っている場での経験でした。そして、小池都知事の「東京大改革」の訴えに共感し、都議会議員への歩みを決意しました。
幸い当選して都議として働かせて頂き、1期目4年間の都議会議員としての活動の中で、数にして2000件を越えるお困りごとをお受けし、できなかったことも多くございますが、その解決に力を尽くして参りました。「児童虐待防止対策」「DV被害女性のお住まいに関するご相談」「小学生とその子を助けようとした方が亡くなられた水難事故の再発防止対策」「町会防災倉庫の設置場所の確保」「保護猫/地域猫対策」「コロナで困窮するひとり親家庭への上乗せ支援」「感染拡大防止協力金の支払遅延への対応」「イベント自粛で困窮するアーティスト支援」など、「こんなに早く答えを返してくれた都議さんはいなかった」「親身になって対応してくださり、本当にありがとうございます」といったお声を頂く度、お役に立てたことが心から嬉しく、やり甲斐を感じて参りました。コロナ禍で届く声は、日増しに増えてきておりました。
事故を起こした私に、「負けずに頑張って」「これからも力を貸して欲しい」と応援くださった方々の多くは、お困りごとの解決に携わらせて頂いた方々です。そんな皆様のお声、また、事故以来この間、様々具体的にお支え頂いた支援者の方々、家族に対しては、感謝しかございません。そして、辞職を決断したことにより、ご期待に応えられなくなったことに対しては、本当に申し訳なく思っています。

私は、弱い立場の人々、特に、女性たち、そして、子供たちの力になりたい。そう思って参りました。
非正規雇用労働者には女性が多く、コロナ禍で、雇い止めとなり多くの女性が職を失いました。そもそも、非正規雇用に女性が多いことで、女性の平均年収は男性の7割しかないと言われています。
この構造転換のために、取り組みたかった政策があります。

子育てと仕事の両立支援の徹底。子育てをきっかけに正社員を辞めなくてすむ人を増やすこと。
特に制度はあっても実際取れないとのお声が多い、中小零細企業での女性の育休取得率を上げること。
男性の育休取得率を現在の14.5%から50%へ上げることで、子育てを分かち合う社会を前に進めること。
出産・子育てで一旦離職したママたちの再就職を応援するため、企業とのマッチングを進めること。
私も当事者である、ひとり親家庭、シングルマザーへの支援を拡充すること、です。
都議会議員として仕事をし、お役に立ちたい。それが、議員継続を願った正直な気持ちです。
「辞職勧告決議」について、申し上げます。
議長室への3度の訪問要請、2度の「辞職勧告決議」を受け、体調を整えるべく努力し、11月9日、議長室への訪問と委員会出席のため登庁いたしました。議長・副議長に対し、「償うべき罪は償った上で、議員活動の中で結果を出して行きたい」との思いを述べさせて頂きました。議員継続を表明したことで、「辞職勧告決議」を受け入れない私がいることを理由に、予定されていた公営企業委員会が開会に至りませんでした。都庁職員の皆様や大切な都政運営に及ぼす影響に、いたたまれなく、申し訳ない気持ちで一杯になりました。

説明責任について申し上げます。
私は無免許運転をして、交通事故を起こしました。これは一重に、私の不徳のいたすところです。この件で捜査対象になり、捜査対象になれば、刑事訴追の可能性があります。誰にも憲法上「黙秘権」がありますし、有罪判決が確定するまで「無罪推定」が及んでおります。したがって、刑事事件が解決に至っていない段階で、事件について皆様に詳らかにできない状態が続いてきました。
一方で、政治家として、有権者の皆様に対する「説明責任」があります。体調不良で都議会に出席できなかったことに加え、この「説明責任」と「刑事訴追の可能性」の間で葛藤し、悩んだ末、有権者の皆様へのご説明が足りない状態が続いてしまいました。
この点、都民の皆様、有権者の皆様に心よりお詫びを申し上げます。

辞職の決断について申し上げます。
今回、私が「刑事訴追の可能性」との間で、充分な「説明責任」を果たせなかったために、大切な両親、齢85になる父の安全が脅かされる事態となりました。これ以上家族を巻き込むことはできない。これも、辞職の決断に至る理由となりました。
私としては、有権者の方々に選んでいただいたことを最も大切に考え、法律による議員の身分保障は「民主主義の根幹」であり、4年間の任期を都民の皆様のためにご奉仕するとの考えの下で、都議を続けたいと申し上げてきました。
仕事がしたくて議員継続を望んでいるにも関わらず、「仕事をさせてもらえない」という現実が、先日の委員会開会拒否で明らかになりました。もちろん、議員の仕事は議会出席だけではありません。個別の政策提案を都の方々に行うことで、都民の皆様のお役に立てることもあります。しかし、議員として十分に仕事させてもらえない「理不尽な現実」に悩みました。

このような中で、小池都知事とお話しする機会を得ました。
「ここは一旦退いて、今回の交通事故の解決に専念されたらどうか」とのご助言を頂き、また「これで人生が終わるわけではなく、今回の不祥事を反省し、再出発するときには相談に乗る」というお話も頂きました。小池都知事は、私の政治の師であり、政治の舞台へのきっかけを作って下さった方です。不祥事を起こして、ご迷惑をおかけした私を親身に考えてくださること、本当にありがたいと思っております。
支援者の方々とも改めてお話をし、小池都知事のご助言を踏まえ、深く深く考え、今回、都議会議員の職を辞する決断をするに至りました。

最後に、再度、都民の皆様、有権者の皆様にお詫びを申し上げます。
また、私にご信託頂きました有権者の皆様のご期待に応えることができず、結果を出せない選択を取ることになりましたこと、心から申し訳なく思っております。深くお詫びを申し上げます。
さらに、「東京大改革」実現のために、ともに歩んできた「都民ファーストの会」の議員の皆様、再起を目指して頑張っておられる前議員の皆様に、大きなご迷惑をおかけしてしまったことについても、お詫びを申し上げます。
全ては過ちを犯した私の責任でございます。都民の皆様、有権者の皆様、本当に、申し訳ございませんでした。

本日は、私の辞職会見にお時間を頂きまして、本当にありがとうございました。
大変お世話になりました。

令和3年11月22日
木下ふみこ

[古川 敦]