【食レポ】東銀座のポルトガル料理店「カラヴェーラ」で、新メニュー「まるごとオマール海老のフランセジーニャ」を楽しむ
東銀座といえば、住所は銀座なのに新橋エリアと同じ価格帯のお店もあり、比較的手軽な料金で、美味しい本格的なレストランが多く立ち並ぶエリア。今回は、東銀座でポルトガル料理が楽しめるレストラン「カラヴェーラ」へと足を運びました。
予約して訪れたのは火曜日の18時ということもあって、到着した時点ではまだ空いていましたが、小一時間ほどすると予約客で席が埋まり始めました。今回足を運んだ火曜日に加えて月曜日は比較的予約が取りやすいとのこと。水曜日と週末は混むことが多いようです。
いずれにしても、レストランに行く場合は、当日でも、直前であっても、事前に電話で予約を入れることをおススメします。
メニュー表を見ると、前菜からメインに至るまでさまざまなポルトガル料理が用意されていましたが、お店おすすめはフランス料理のクロックムッシュを元に生み出されたとされるフランセジーニャが名物とのこと。
お店の名物を教えて頂いた後は、まずは泡物が飲みたいと言うことで、スパークリングワインの「フィタアズール」(グラスで800円)を注文。ポルトガルワインは比較的辛口のワインが多いそうですが、「フィタアズール」は貴腐ワインのような甘味を感じるので飲みやすく、食前酒として最高です。
ワインと合わせてお通しのオリーブをつまんでいると、イワシをコンフィのように油で煮た大羽イワシの自家製オイルサーディン(1,600円)がオススメとのことで注文しました。大羽イワシの自家製オイルサーディンの上にはコリアンダー(パクチー、香菜とも呼ばれます)が載せられ、ポルトガル料理はヨーロッパの中でもコリアンダーを多く料理に取り入れていることを店員さんに教えてもらいました。
大羽イワシの自家製オイルサーディンは、調理法はコンフィとそっくりですが、イワシの身が崩れないよう骨まで柔らかくなるほど煮込んでいないこともあって小骨が若干気になりますが、普段は苦味を感じる内蔵部分がトロリと美味しい点が印象に残りました。
そのまま大羽イワシの自家製オイルサーディンを2尾平らげても良かったのですが、あわせて自家製コーンミールパン(300円)を追加注文し、イワシのオイルサーディンとともにコーンミールパンを食べてみることに。香ばしい風味を感じるコーンミールパンと、ほどよい塩気と旨味を閉じ込めたイワシのオイルサーディンとの相性は抜群で、お酒好きな方であればお酒が進むアテになりそうです。
大羽イワシの自家製オイルサーディンを堪能した後は、お店の名物である、「丸ごとオマールのフランセジーニャ」(2,000円)が目の前に運ばれてきました。丸ごとオマールのフランセジーニャは、名前の通りオマール海老がまるごと2尾使われていて、海老の身の存在感が大きな一品。その後すぐに店員さんの手によりアメリケーヌソースのようなソースが皿に注がれます。
店員さんから、ポルトガル料理は地理的にスペイン料理に近い料理が食べられるイメージが強いのですが、実際にはフランスの影響を受けた料理が多いとの説明があった通り、ソースに拘りがありそうな点がまさにフレンチの思想を持つ料理です。
「丸ごとオマールのフランセジーニャ」は、クロックムッシュが原型とされているとのこと。しっかりと焼かれたトーストの中に、いろいろな具材を入れて食べるサンドウィッチのような料理ですが、クロックムッシュがポルトガル料理に変化したことで、軽食からメインディッシュとなり得る料理へと変貌し、ボリューム満点です。
オマール海老の下に仕込んであるトーストの中には、チーズやお肉のような味わいや食感の異なる食材に、しっかり濃厚なソースが掛かっています。それぞれの部分での食感の違いや旨味が異なるため、立体的な味わいになっているところにフランス料理の影響を感じます。
「丸ごとオマールのフランセジーニャ」を堪能した後は、ポルトガルの鍋料理と言われるカタプラーナを食べることに。カタプラーナは魚介を使ったものだけでなく肉を使ったものもあり、今回は生の月桂樹を香りづけとして使用する、「牛肉と月桂樹季節野菜のカタプラーナ」3,450円を注文しました。
カタプラーナを作る際に使うカタプラーナ鍋は、蓋を閉めた状態で使用すると圧力鍋ほどの気密性はありませんが、ほどよく圧力がかかった状態で調理ができることから、圧力鍋の原型と言われています。
カタプラーナ鍋のフタを開けると、野菜や肉などの具材がしっかりと蒸され、生の月桂樹の葉を使用することで独特の香りが強く感じます。
別途味付け用に塩も用意されていましたが、もともとほどよい塩気が感じられることもあって、肉の火の通りも固くならない程度の塩梅。蒸し野菜も水分が残るくらいの蒸し具合で調理されているので、ピーマンやとうもろこしはみずみずしく、さつまいもはホクホクと美味しいです。
最後に、日本のカステラの原型となったと言われる「パン・デ・ロー」(800円)を注文。パン・デ・ローは小麦粉、卵、砂糖のみで作られるお菓子で、とろっとした食感とともに、卵のコクと砂糖のガツンとした濃厚ではっきりとした甘さを感じます。
濃厚なガツンとくる甘いパン・デ・ローと合わせて頂くのは苦味をしっかりと感じるエスプレッソ(400円)がオススメです。
今回初めてポルトガル料理を「カラヴェーラ」で堪能しました。ポルトガルは南北に長い国なので、北部と南部ではいろいろと文化が異なり、北は肉中心、地中海に面した南は魚介中心と言われます。日本のポルトガル料理店は、どちらかというとリスボンに代表される南部のメニューが多いようですが、「カラヴェーラ」は肉も魚も楽しめるメニューを揃えています。
南フランス料理に通ずるソースを使ったフランセジーニャに、東南アジア諸国のようにコリアンダーを多用することもあり、独特な食文化が根付いた国であると認識を新たにしました。
「カラヴェーラ」は、デートにもぴったりな雰囲気のレストランですが、平均予算は5,000~6,000円とのこと。バルを利用する価格帯に少しプラスする程度で、本格的なポルトガル料理がいただけるのも好印象です。