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ローソン2店舗で店内調理の弁当・パンの消費期限を貼り直して7時間延長 FC契約を解除し閉店~外部機関検査で消費期限7時間超過後9品の内1品が基準値オーバー

[2019/2/6 13:47]

 ローソンが6日、加盟店である「ローソン三郷天神一丁目店」と「ローソン三郷彦糸店」で、「まちかど厨房商品」(店内調理による弁当、調理パン類)の消費期限を故意に延長して販売していたことが判明したと発表しました。

 両店では「まちかど厨房商品」のサーマルシール〔消費期限を記載したシール〕を貼り替えることで、消費期限を7時間延長していました。なお、「ローソン三郷天神一丁目店」(埼玉県三郷市天神1-503-11)は1月18日(金)に、「ローソン三郷彦糸」(埼玉県三郷市彦糸2-200)は1月22日(火)に閉店しています。

 両店のオーナーは同一人物で、店舗運営にほとんど関与していませんでしたが、行為自体は把握していたとのこと。また、ローソン本部では月に1回、店舗指導員による店舗衛生調査を行ない、その際にサーマルシールの表示内容について確認を行なってるものの、貼り替えを発見できなかったとしています。

 同社では、元オーナーは1月26日付でフランチャイズ契約を解約し、警察署に対応を相談中で、不正を指示していた元従業員は警察署に対応を相談中、不正に加担していた従業員は解雇。ローソン本部の運営本部長は譴責、運営部長は譴責、支店長は厳重注意の処分をしています。

 なお、当該商品を購入していた場合は、レシートと引換えに返金するとしています。

【販売した主なまちかど厨房商品】
<弁当>
・厚切りロースのカツカレー:税込598円
・厚切りロースのソースかつ丼:税込566円
・海鮮かき揚げ丼:税込500円
・直火で炙った焼豚丼:税込530円
・ダブルたまごの親子丼:税込598円
・とろーりたまごの厚切りロースカツ丼:税込598円
・豚ロース生姜焼き丼:税込500円

<調理パン>
・厚切りかつ&ごろっとタマゴサンド:税込399円
・厚切りロースかつサンド:税込399円

 同社では、全店での消費期限管理の徹底と再発防止システムの構築を図り、信頼回復に努めるとしています。

判明した経緯

【1月17日(木)】
 午前7時
  カスタマーセンターにメールで「ローソン三郷天神一丁目店」で店内調理の弁当のサーマルシールの貼り替えを行ない、消費期限を引き伸ばしている」との連絡が入る。

 午前11時
  店舗指導員が三郷天神一丁目店オーナーとの面談および店舗従業員への聞き取り調査を実施。実際に消費期限が近いまちかど厨房商品のサーマルシールの貼り替えを行ない消費期限の延長を行なっていたことが判明。

 午後6時
  三郷天神一丁目店でのまちかど厨房商品の販売を中止。

お客様が埼玉県草加保健所に当該事実を通報。

【1月18日(金)】
事実確認の上、同社店舗指導員より埼玉県草加保健所に電話で当該事実を報告。

「ローソン三郷天神一丁目店」を閉店。

【1月21日(月)】
当該店舗管轄の同社支店長などが埼玉県草加保健所に出向き、実態等を報告。

【1月22日(火)】
当該オーナーが経営する「ローソン三郷彦糸店」も閉店。

【1月26日(土)】
当該オーナーとのフランチャイズ契約を解約。

【1月28日(月)】
対象商品の消費期限切れ(7時間超過)による微生物検査を外部機関に依頼。

【1月29日(火)】
同社品質管理担当者等が埼玉県草加保健所へ出向き、品質管理手順、実態等を報告。

【1月30日(水)】
「ローソン三郷彦糸店」でも同様の延長を行なっていたことが発覚

【1月31日(木)】
外部機関による微生物検査にて、9品中1品が基準値をオーバーとの検査結果。

【2月1日(金)】
同社から警察署に相談。

【2月4日(月)】
埼玉県草加保健所に報告書を提出。

なお事実確認については、埼玉県草加保健所の指導の下に実施。

発生経緯および原因

【三郷天神一丁目店】
 2016年7月のオープン時点から2019年1月までの2年半の間、元従業員の指示により、午後4時消費期限の商品に対し、午後2時に発行した消費期限午後11時のサーマルシールを貼り替える事で、消費期限を7時間延長し販売。元従業員が2017年6月に退職して以降も、店舗では引き続き延長行為を行なっていた。

【三郷彦糸店】
 従業員からの証言で、三郷天神一丁目店の元従業員が勤務していた2014年7月以降(開始時期不明)から2017年6月までの間、同様の方法で、消費期限を延長していた事が判明。

 なお、サーマルシールの消費期限の印字は自動的に発行した時間から9時間後となっており、店舗での時刻の変更はできない仕組みになっているとのこと。

延長した商品の販売数

 三郷天神一丁目店のPOSレジデータで確認したところ、消費期限後(午後4時以降)のまちかど厨房商品の販売数は1日平均15個でした。延長を2年半継続していたため、販売総数は最大で約13,700個(15個×365日×2.5=13687.5個)の可能性があるとのこと。

 なお、三郷天神一丁目店では、通常午前7時にまちかど厨房商を製造していましたが、追加で製造している事もあったため、上記販売総数は推測値となります。

 三郷彦糸店での販売数に関しては、延長を実施していた時期が古く、POSレジデータでの時間帯別販売実績が残っていないため、消費期限を延長した商品の販売数の把握は出来なかったとのこと。

微生物検査の結果

 外部機関で消費期限を7時間超過した同じ種類の商品9品の微生物検査を行ない、内1品が基準値をオーバー。なお、これまで健康被害の申し出はないとのこと。

全店での調査実施

 全店での商品製造履歴と販売実績、廃棄実績の照合、サーマルシール発行推定数と販売実績の照合、店舗従業員へのヒアリングを実施中。

再発防止策

 全店にて下記再発防止策を実施。完全実施までの期間は店舗指導員によるチェックによって、サーマルシール貼り替えを防止するとのこと。

<新規防止策>
・剥がして貼り替えが出来ないように強粘着タイプのサーマルシールを導入
・各店のサーマルシールの発行枚数を本部にて一括管理するシステムの導入
・作業用タブレットに店内調理商品の製造・販売・廃棄記録入力画面を追加し、製造時間や廃棄時間等を一元管理
・店内調理製造区画へカメラを設置(新店・改装店より順次)し、店舗巡回指導時に確認

<店舗指導員によるチェック>
・日毎の製造商品数とサーマルシール発行枚数の差異が無いかチェックし、サーマルシール貼り替えを防止

<現在行っている衛生指導の強化>
・外部機関による調査
・同社品質管理部門による調査

[古川 敦]