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マクドナルドが成形肉をブロック肉のように広告した課徴金は2,171万円に決定 消費者庁が2017年8月発売の「東京ローストビーフバーガー/マフィン」の広告に優良誤認で課徴金納付命令

[2019/5/28 02:25]

 消費者庁が24日、日本マクドナルドに対し、「東京ローストビーフバーガー」と「東京ローストビーフマフィン」の表示について、景品表示法第8条第1項の規定に基づいて、2,171万円の課徴金納付命令を行なった発表しました。2019年12月25日までに国庫への納付を求めています。

左が「東京ローストビーフバーガー」、右が「東京ローストビーフマフィン」

 課徴金が課されたのは、2018年7月24日に発表された、「東京ローストビーフバーガー」と「東京ローストビーフマフィン」のTVCMなどの広告物の表現が景品表示法第5条第1号に違反(優良誤認)に関して。

 日本マクドナルドが国庫に納付しなければならない課徴金の額は、景品表示法第8条第1項の規定により、各料理の売上額に、それぞれ、100分の3を乗じて得た額から、同法第12条第2項の規定により、1万円未満の端数を切り捨てて算出した額を合計した2,171万円。

【課徴金内訳】
「東京ローストビーフバーガー」単品:489万円
「東京ローストビーフバーガー」セット:1,524万円
「東京ローストビーフマフィン」セット:158万円

 なお、消費者に返金措置(申出があった場合に、購入額に3%を乗じた額以上の金銭を交付する措置)を実施した場合、課徴金を命じない又は減額する規定(第10条第11項)がありますが、日本マクドナルドは返金措置を実施していないと見られます。

 今回、課徴金納付命令となったのは、2017年8月8日(火)から8月24日(木)まで放送された「東京ローストビーフバーガー」「東京ローストビーフマフィン」の2商品にかかわるテレビコマーシャル、2017年8月7日(月)から同8月24日(木)まで同社ウェブサイトなどで掲出された同商品にかかわる動画、広告物の表現。

問題となった表現の一部

 消費者庁では、TVCMについて「しっとりリッチな東京ローストビーフバーガー」との音声と共に、ローストされた牛赤身の肉塊をスライスする映像を放送するなど、あたかも、使用されている「ローストビーフ」と称する料理には、牛の部分肉を分割したものを使用しているかのように示す表示をしながら、実際には使用されている「ローストビーフ」と称する料理の過半について、牛赤身のブロック肉を切断加工したものを加熱して結着させて、形状を整えたもの(成形肉)を使用していたことを問題視。

 マクドナルドでは、両製品に使用されたローストビーフは、一枚肉と成形肉の2種類を使用されており、「一部のローストビーフが成形肉から作られている」旨の注釈を記載する必要があったと、不備を認めています。なお、期間限定商品のため、2017年9月5日(火)で販売終了していますが、消費者庁の調査を受け、テレビコマーシャル、並びにウェブ動画は2017年8月24日(木)をもって終了。また、販売期間中(2017年8月27日から販売終了まで)に、店頭及びホームページでの商品表示に、“ローストビーフは厳選した牛肉の切り身をブロック肉に加工”と追記したとのこと。

 なお、同社では使用されたローストビーフは、一枚肉や成形肉ともに厳選された、高品質の牛モモ肉の精肉を使用し、品質、味覚、食感、外観は同等のものとしています。一枚肉とは、厳選された牛モモ肉の大きなブロックをそのまま加工し、スライスしたもので、成形肉は、一枚肉と同様に厳選された牛モモ肉の切り身を大きなブロックに整えて加工し、スライスしたもので、ミンチ肉ではなく、一枚肉、成形肉にかかわらず、食品衛生法の基準に適合した完全加熱食肉製品であり、同法に準拠するものとしています。

 同社では今回の消費者庁の指摘を真摯に受け止め、今後、正しく、わかりやすい広告表現を行なうように努めていくとしています。具体的には、広告表示に関連する法令、規範の周知を徹底するため社内での講習会や外部講師を招いた勉強会を実施し、広告表示に関連する業務に従事する社員に対して、同社の関連法令遵守の方針やガイドライン等の趣旨の理解を再徹底し、商品の表示に関する情報の確認、並びに関係部署間での情報共有の一層の強化するとしています。

[古川 敦]