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100円寿司チェーン「はま寿司」の郡山堤店で「使用期限」切れ食材をラベルを貼り替えて提供と判明 一部の従業員が「多少の超過なら安全上も問題はない」「食品ロスを削減したい」という考えで行なった

[2023/4/7 23:04]

 ゼンショーグループの「はま寿司」が7日、3月末に文春オンラインと週刊文春で報道された、同社が運営する100円寿司チェーン「はま寿司 郡山堤店」(福島県郡山市堤1-150-2)に所属する全従業員を対象に事実関係の調査を行ない、食材の期限管理に関し、食品衛生法の趣旨には即しているものの、一部で同社の定めた基準に基づく管理がなされていなかったことを確認したと発表しました。

 消費期限は流通時の保管条件が維持されていることを前提に設定されていますが、解凍や調理をした場合は適切な期限を自社で設定し直す必要があり、同社では、安全でおいしい商品を提供するために、食品衛生法の基本的な考え方に準拠して、科学的に自社の食品管理基準を設定。消費期限を超えない範囲で「使用期限」という管理目標を定め、店舗運営を行なっているとのことです。

 「使用期限」は、微生物検査機関において、実際の店舗での保管条件よりも微生物が増殖しやすい条件下(実際の保管温度よりも高い温度、実際の保管期間よりも長い期間)で菌の数を測定し、自社基準にあてはめて算定。そのため、仮に使用期限を超えた場合でも、健康や味に影響が出ない段階で改善指導や是正措置を行うHACCP(ハサップ)の予防的な仕組みを取り入れ、安全を保証しているとのこと。店舗では1日に4回、保管食材の使用期限を確認し、期限切れおよび期限ラベルが未貼付のものは廃棄し、それを記録に残しているとしています。

 今回、調査を行なった店舗では、この自社管理目標である「使用期限」が一部で守られていなかったことが従業員へのヒアリングから判明したとのこと。具体的には、適切な温度管理の下に使用期限を超えた食材で、目視により変色など状態の劣化が見られなかったものに対し、期限シールを貼り替えて使用したというもので、背景には、同社の「使用期限」自体が、安全に保存できる時間に余裕をもって設定してあることから、一部の従業員の中で「多少の超過なら安全上も問題はない」との誤った認識があり、「食品ロスを削減したい」という考えで行なったとしています。

 同社の「使用期限」については、それを超過しても安全性に問題のない範囲で設定しているものの、同社では「これは意図的に期限を超えて使用することを許容するものではなく、本件については明らかに社内ルールから逸脱した行為です。お客様にはご不快な思いをいだかせてしまい誠に申し訳ありません」と謝罪しています。

 同社では、どの店舗でも発生しうる事案として重く受け止め、今後同種の違反行為に対しては厳重に対処するとともに、強い意志を持って全従業員に対しルールの徹底と教育を行なっていくとのことです。さらに、人の手に頼らないシステムによる食材管理手法について早急に検討していくとしています。

 また、今回のルール不徹底の発生は個店事情による店舗責任ということではなく、同社の運営そのものにも問題があると受け止めており、真摯に反省し、改善に向けた対策を講じることで、「引き続きお客様に安全でおいしいお寿司を提供できるように努めてまいります」としています。

[古川 敦]