日本テレビがスタジオジブリを子会社化 宮﨑駿82才、鈴木敏夫氏75才「後継者問題に長らく悩んできた」~社長は日テレ専務が就任。スタジオジブリの自主性を尊重
日本テレビ放送網株式会社と株式会社スタジオジブリが21日、各々取締役会で日本テレビがスタジオジブリの株式を取得し子会社化することについて決議したと発表しました。日本テレビがスタジオジブリの株式を個人株主複数名から取得を進めて、異動後の所有株式数470株で、議決権所有割合42.3%の筆頭株主になります。さらに、日本テレビから役員が派遣されスタジオジブリの経営をサポートします。なお、取得価額については、現時点では開示を差し控え、今後、開示可能となった時点で速やかにお知らせするとしています。
— スタジオジブリ STUDIO GHIBLI (@JP_GHIBLI)September 21, 2023
スタジオジブリは、2023年7月に宮﨑駿監督の最新作「君たちはどう生きるか」を7年の歳月をかけて完成させ、劇場公開を果たしましたが、宮﨑駿氏は82才、プロデューサーの鈴木敏夫氏も75才となり、長らく悩んできたのが後継者問題とのこと。
これまで、スタジオジブリを受け継ぐものとしては、創業者である宮﨑駿監督の長男であり、自らもアニメーション映画監督である宮崎吾朗氏の名前が何度か候補に上がってきましたが、宮崎吾朗氏自身としては、「一人でジブリを背負うことは難しい、会社の将来については他に任せた方が良い」との考えから、それを固辞してきたとのこと。
そのため、スタジオジブリでは経営を誰かに任せられないかと、その候補を巡って様々に検討。そのような経緯を経て、永年にわたり親しく付き合いのあった日本テレビとスタジオジブリの間で話し合いが始まったとしています。
2022年某月に、スタジオジブリの鈴木プロデューサーと日本テレビの代表取締役会長執行役員 杉山美邦氏とが、とある温泉場でゆっくり時間をかけて話をする機会があり、その際に、鈴木氏から「ジブリがこれからも映画づくりに集中するために、経営を日本テレビで手伝ってもらえないか」と申し入れ、杉山氏が「今後ともジブリ作品を応援し、ジブリが映画を作り続けられる環境を守ることになるならば」と、これを前向きに検討することを約したのがきっかけだったとしています。
日本テレビは、1985年に「風の谷のナウシカ」(1984年、宮﨑駿監督)をテレビ初放映して以来、映画番組「金曜ロードショー」を通じてスタジオジブリ作品を放送し続けています。「魔女の宅急便」(1989年、宮﨑駿監督)からは映画製作に出資したのをはじめ、2001年に開館した「三鷹の森ジブリ美術館」の設立を支援するなど、永年にわたってスタジオジブリと歩みを共にしています。
日本テレビとしては、国内はもとより海外でも多くの人に愛される作品を生み出してきたスタジオジブリを子会社にしてこれまで以上に支援していくことは、日本テレビグループ全体の企業価値の向上に大いに資するものと考えたとのこと。これまでスタジオジブリの価値観を尊重しながら長く付き合いを続けてきた日本テレビだからこそ、スタジオジブリの「もの作り」やブランド価値を永続的に守ることができると確信したとしています。
日本テレビは、スタジオジブリの自主性を尊重し、スタジオジブリは今後ともアニメーション映画の制作、ならびにジブリ美術館、ジブリパークの運営に専念していくとのことです。
日程
取締役会決議日:2023年9月21日
契約締結日 :2023年10月6日(予定)
株式譲渡実行日:2023年10月6日(予定)
子会社化後のスタジオジブリの新経営体制
取締役名誉会長 宮﨑駿
代表取締役議長 鈴木敏夫
代表取締役社長 福田博之 (日本テレビ放送網株式会社 取締役専務執行役員日本テレビホールディングス株式会社 上席執行役員)
代表取締役副社長 中島清文
常務取締役 宮崎吾朗
取締役 杉山美邦(日本テレビホールディングス株式会社 代表取締役会長執行役員、日本テレビ放送網株式会社 代表取締役会長執行役員)
取締役 依田謙一(日本テレビ放送網株式会社 コンテンツ戦略本部事業局イベント事業部 専門部長)
取締役 村瀬拓男(弁護士)
監査役 吉江優介(日本テレビホールディングス株式会社 経営戦略局経営戦略部 担当副部長)
※2023年10月30日開催予定のスタジオジブリ臨時株主総会で決議予定。
日本テレビ 代表取締役会長執行役員 杉山美邦(写真左)、スタジオジブリ代表取締役社長 鈴木敏夫(写真右)。「金曜ロードショーとジブリ展」にて撮影